「弊社」と「当社」は、自分が所属する会社を表現する際に使われますが、微妙なニュアンスの違いが存在します。
この記事では、「弊社」と「当社」の意味や使い方の違いについて解説します。さらに、他の自社を表現する言葉やメールでの適切な使用例についても紹介します。
弊社と当社の違いとは?
「弊社」と「当社」は、自分が勤めている会社を表現する言葉ですが、謙譲語と丁寧語の違いがあるため、使用する場面が異なってきます。
- 「弊社」…謙譲語。へりくだる表現のため社外向け表現。
- 「当社」…丁寧語。へりくだった意味合いがない社内向け表現。
弊社の使用方法と例文
「弊社」は、相手に対して自分が勤めている会社をへりくだる表現であり、謙譲語として使われます。そのため取引先や顧客などに対しては基本的に「弊社」を使うことが望ましいです。弊社は場面や文脈に関わらず、社内の人に対しては使われることはありません。
- 参考
- ・弊社製品をご利用いただき、誠にありがとうございます。
・弊社では、お客様のニーズに応えられるよう素早い対応を心がけております。
・弊社の製品についてご質問やお問い合わせがございましたら、お気軽にご連絡ください。
・弊社の提供するソリューションは、多数の企業様に導入いただいております。
・弊社の製品を取り扱っていただける代理店様を募集しています。
当社の使用方法と例文
「当社」は自分の勤める会社を指す丁寧な表現、つまり丁寧語です。弊社のようなへりくだった意味合いは持ちません。基本的には自社内で使われることが多いですが、「当社比」などの表現では社外に向けてもよく使われます。
- 参考
- ・当社では、新入社員研修を実施しています。
・当社のCSR(企業の社会的責任)活動について、社内報で報告いたします。
・当社の社員食堂の利用について、新しいルールが導入されます。
・当社の福利厚生制度に関する社員アンケートを実施する運びとなりました。
・当社の社員旅行の日程ならびに出欠確認をお送りいたします。
あくまで当社は社内向けの表現ですが、例外として社外向けに使用するケースもあります。
- 参考
- ・新製品は、当社比で洗浄力が15%アップしています。
上記のような自社製品の性能を紹介するケースにおいて「当社比」という形で表現されることは珍しくありません。この使用方法であれば、相手の立場が上であり、敬意を示す必要のある場面でも当社の使用が可能です。
弊社と当社の類似語とは?
「弊社」と「当社」以外にも自分の勤める会社を表現する言葉はあり、「自社」や「小社」が挙げられます。
自社の使用方法と例文
「自社」は敬語ではなく、丁寧な意味合いも含まれないくだけた表現のため、一般的に社外だけでなく社内でも使用することはあまりありません。
ただし、「自社製品」や「自社株」といった表現はイレギュラーで使用できます。
- 参考
- ・自社製品ラインナップを拡充するため、新商品の販売に向けた準備を進めています。
・○○グループは自社株買いを発表しました。
小社の使用方法と例文
「小社」も自分の勤める会社のへりくだった言い方です。弊社と同様の意味合いを持つことから「小社」と「弊社」の両方を使用することができます。ただし、小社には「小さな会社」といった意味や、「小さな神社」など他の意味でも使用されるため、「弊社」を使うのが一般的です。
弊社と当社の対義語とは?
自分の勤める会社を表現する「弊社」「当社」の対義語として、「御社」「貴社」が挙げられます。どちらも相手の会社を示す敬称となり、御社は話し言葉向け、貴社は書き言葉向けの表現になります。
相手を立てる敬語表現の言葉ということもあり、弊社・当社とは違い、社内外で表現が変わることはありません。
- 参考
- ・御社の〇〇に貢献したいという気持ちで、今回ご応募いたしました。
・恐れ入りますが、御社名とお名前を伺えますでしょうか?
・貴社におかれましては益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。
・〇月〇日〇時に貴社に伺います。
弊社と当社を正しく使い分けよう
以上が自社を表現する際に使用する「弊社」と「当社」の違いに関する解説となります。弊社と当社の使い分けのポイントを振り返ってみると以下のようになります。
- 弊社は謙譲語なので社外向けに用いられる
- 当社は丁寧語なので社内向けに用いられる
- 当社比などの表現では例外として社外向けに使用するケースもある
正しく使い分けることで、相手に対する適切な敬意を示すことができます。適切な言葉遣いを心掛けることで、コミュニケーションを円滑に取れたり、信頼を得る手助けになるので、意識して使ってみてくださいね。